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漆器の修理

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だいぶ前のことですが、福井の母方の祖母のお下がりということで、蒔絵のお椀を貰いました。


「紙がすごいから見てごらん」 という母からの連絡。
包み紙を広げてみると・・・ 

Lacquerware_repair

上質な薄紙は、なんと、戸籍謄本の紙でした。
大正13年の、えー、何月だ?

昔は謄本ってこんないい紙に、毛筆だったのですね!!!!
福井は和紙の産地だからかしら。それとも日本全国同じなのかな。
そして、役所の人が謄本の依頼が出るたびに手書きしていたということですよね?
達筆な人でないと公務員になれないのだわ・・・。
(謄本に書かれた人物は祖母の関係者(つまり私のご先祖?)のはずなのですが、達筆すぎて読めませんでした・・)

 

Lacquerware_repair

中味はこちら。
ふたつきの豪華なお椀4客です(ミがないものが一客)。
やや立体的な塗り方ですが、高蒔絵というのでしたっけ(高蒔絵はもっとこんもりしているもの?)。

Lacquerware_repair

やや曇った色合いは古風ということで味のうちですが、使うには少々問題が。
金の縁取り部分のあちらこちらが、こんな風にはげているのです。 

Lacquerware_repair

縁の部分は欠けが多いです。

Lacquerware_repair

ここなどは、かなり深い傷。
だいぶえぐれていて、木地が露出しているかも?

Lacquerware_repair

小さな欠けがあちこち。 

Lacquerware_repair

大きめの欠けも。

Lacquerware_repair

もう少しで2つの欠けがつながってしまいそう。

瀬戸物の欠けたものは、危険がなければ気にせず使ってしまいますが、漆の場合は漆の傷みが進んでしまったり、最悪芯の木材が腐ってしまう可能性もあります。 
なので使わずにしまってありました。 


折角綺麗なお椀なのに、しまっておくしかできないのは勿体ないです。
片付け本を読んでいると「修理する予定のない電気製品が納戸にありませんか?」などというお説教が書いてあるし。

漆は修理出来ると聞いたことがあります。
他にも大分古くなったお椀があるので、一緒にまとめて問い合わせてみることにします。

Lacquerware_repair

他、というのはこちら。
合鹿椀というのかな?大きめのお椀です。
知人に「結婚祝いに何がいい?」と聞かれて私がリクエストして頂いたものです。 

Lacquerware_repair

赤と黒のセット。
木目を残した拭き漆仕上げのものです。
具沢山汁物や炊き込みご飯、ちらし寿司などに重宝で、××年間ものすごくよく使いました。
黒いお椀は漆がすり減って、うっすら下の赤が透けて見えるようになりました。


ネットで漆器修理を受け付けてくれそうなところを探し、いくつか問い合わせしてみた結果、山久漆工というところにお願いすることにしました。
各社から正確な見積もりを出してもらった訳ではなく、箇条書き形式の私の質問に、箇条書きに従って丁寧に回答して下さった、というのが理由です。
おそらく技術レベルはどこも問題ないでしょうし、お値段もそれほどは違わないと思いますので、素人の質問に丁寧に答えてくださる、相談しやすい方がいらっしゃるところに決めました。

写真を見せて相談したところ、結婚祝いの赤と黒の方は、拭き漆仕上げの上からまたたっぷり漆を塗って、つるりと滑らかなお椀に塗り直すことになり、かなり高い修理代になるとのこと(漆のお椀を一個まるまる塗り上げるくらいの手間かも?)。
迷いましたが、修理は諦めることにしました。
これにさようならして、結婚××年記念に、また新しいものを買うのも楽しみですよね。


祖母のお下がりの方は、実物を送って見て頂いた結果、
・縁金
・蓋と親の内側
という項目で修理をお願いしました。

所要期間はおよそ3ヶ月・・・。ほよ。忘れてしまいそう・・・


そういえば?とふと思い返した折りに、丁度修理が終わって帰ってきました。
 

Lacquerware_repair

おやま。
修理に出す際はキッチンペーパーとお椀を重ねてプチプチでくるんでまとめて送ったのですが、綺麗な箱に一客ずつ入れて下さっています。
包み方が丁寧で、出すのがためらわれるほど。
(このあと再度包んで入れ直したらやっぱりグシャっとなってしまってこんな風には戻らなかった・・・・) 

Lacquerware_repair

わーお!

みなさんエステ帰りみたい。
つやぴかしています。 

Lacquerware_repair


縁の金色はツルリとなめらかで、どこが欠けていたのか分からない程。 

Lacquerware_repair

蓋と親の内側は塗り直してありますので、つやつや・てりてりです。 

Lacquerware_repair

蓋の外側は模様があって塗れません。
親の外側は塗れないことはないですが、もし塗ると蓋の外側と違う色になってしまうので今回は塗らないことにしました。でも、綺麗に洗って下さったのかな、前よりつややかです。

親指のちょっと先あたり、傷があった部分をレタッチして下さったのかな?という部分がありました。
(前からかも。よく分からないです)
 

Lacquerware_repair

金粉がかすかに残っているところが。
このあたりの縁を直したのかしら? 

Lacquerware_repair

一客3500円、蓋のみのものは2500円、合計18000円ちょっと、という金額でした。
とても綺麗になって使っても問題ない状態になり、また日本の伝統工芸の丁寧さの一端を実感出来て、直してよかったと思います。

折角のお椀ですので、食器棚に置いて、時々は使おうと思います。 


●業務連絡:お母さんへ
お正月にお雑煮用に使いますか?持っていきますけど。


■参考情報
漆器修理の相談にのって貰えるところ。
たまたま調べた結果ですが、福井県鯖江市に工房が多いようです。(他の地域にもあると思います)

(1) 山久漆工 福井本社
916-1222 福井県鯖江市河和田町20-4-6
TEL 0778-65-0101   FAX 0778-65-2373
URL http://www.yamakyu-urushi.co.jp
SHOP http://www.rakuten.co.jp/kasane
▼お直しご依頼〜完成までの流れ
http://www.yamakyu-urushi.co.jp/custom/
今回お願いしたところです。

(2)くらしを彩る「雅乃」
(株)山崎漆器商会 
〒916-1114 福井県鯖江市磯部町6-9
TEL 0778-65-0500 FAX 0778-65-0490
URL http://www.yamazaki-j.co.jp/

(3)株式会社ヒロセ
〒916-1223福井県鯖江市片山町6-1
TEL 0778-65-0103
FAX 0778-65-2030
漆器修理サイト http://shikki-shuuri.jp/

(4)藤井漆工芸株式会社
東京都足立区足立1−29−18
TEL  03−3848−2141
FAX  03−3889−3227
URL   http://j-fujii.com


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